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2016年1月15日金曜日

那覇市・とつあん総本家・元気そば

とつあん そうほんけ げんきそば ■ とつあん総本家 ■

 「元気そば」
 750円

 価格の満足度:★★☆☆☆
 麺の満足度 :★★★★★
 ダシの満足度:★★★★☆
 総合    :★★★★☆

 具志3丁目でそば家といえば、反射的に『いしぐふー』を連想するのですが、その近くに新しいそば家ができたことを、最近グーグルマップで発見したから内心穏やかではありません。『あの人気店の近くに殴り込みをかけるたぁ、いい読経・・じゃないぜ(^^;度胸しとるわ。』と思いつつ、機会あらば必ず訪問しようと思っていましたが、ようやくその時が到来しました。

 今回の那覇滞在の最終日、チェックアウト後のホテルに荷物を預け、那覇に住んでいた当時のそば家探訪で、いつもそうしていたように、お店を目指してひたすら歩き始めます。奥武山公園を抜けたあと、魔物でなくても石敢當にぶつかりそうなくらい、曲がりくねった道が絡み合う小禄の丘陵地帯に入ります。かつては何度も歩いた道とはいえ、道筋を一本間違うと目的地を逸れてとんでもない方角に向かってしまうエリアの道ゆえ、太陽が見える方角に気をつけながら、具志方面を目指します。

とつあん そうほんけ がいかん 途中で少し遠回りしてしまいながらも、1時間ほどで無事に『たから家』近くまで到達したので、あとは事前リサーチした時にチェックした地図を頼りに『いしぐふー』裏手の門中の墓地横を通り過ぎるとありました、コンクリート打ちっぱなしの五階建てアパート風の建物に、『とつあん』の大きな看板。こんなに必要かと思うほど駐車場が広く取られ、幟が何本も風に揺れていました。

 11時の開店ちょうど頃に着いた目の前を軽のバンが一台通り過ぎて、窓には「とつあん」と書かれたカラフルなステッカーが貼られていました。坂を上ってゆくと、その車は店の前に止まっています。スタッフが到着したのでしょうか。で、お店はなぜか一階でなく二階にあるようです。外階段を上がると暖簾が出て明かりもついたお店のドアの前に出ましたが、なぜかドアにはまだ鍵がかけられたまま。暖簾を出しているのにロックとはいささか変な感じですが、車で到着したスタッフが鍵を開けるのだろうと思って、ドアの横にあるベンチで待つことにしました。

とつあん そうほんけ にかいの げんかん 5分ほど過ぎてようやく目の前のエレベータが動き、1階から人が上がってくるようです。で、降りてきたのはどちらかといえば「おばー」に近い世代の女性。「お客さん?」と声をかけつつ、答える間もなく勝手口のようなドアから中へ入ってゆきました。

 しばらくして、やっとドアの鍵が開く音。ドアから顔を出したスタッフは私の姿を認めると、いかにも『しまった、鍵開けるの忘れてた』というような表情を見せ、なにやら別のスタッフと話したあと、中に「どうぞ」と誘導されましたが、入ってびっくり!何、この広さ?!このビル2階の1フロアすべてのスペースを、『とつあん』が占有しているのです。席数は100を軽く超えているでしょうか。しかもジュークボックスやら蓄音機やらアンティークなピアノが置かれているという、不思議な雰囲気。テーブルに行こうとすると、先に注文を決めてドア横のレジで会計をしてくださいとのこと。券売機ではなくレジでの支払いが先という、ちょっと変わったお店です。

とつあん そうほんけ とてもひろい てんない そのレジの背後には写真つきメニューが張り出され、最高価格¥750の『元気そば』は環状に敷き詰められた三枚肉の中央に野菜がトッピングされて、いかにもボリューム感があるのに対して、好みの『軟骨ソーキそば』¥730には軟骨ソーキが1個しか載っていない!貧相ではありませんか。・・ってなわけで『元気そば』を注文しようと思い、レジのスタッフに「『元気そば』っていうのは、何が載ってるんですか?」と尋ねると「『三枚肉』と野菜です」とのお返事だったので、こりゃ間違いなくオトクだなと思い注文しました。麺は生麺か太平麺を選択できるとのこと。生麺タイプは大好きですが無難においしいのが当たり前なので、お店が独自開発したという太平麺をあえて選択です。

 待つ間、とてつもなく広い店内を見回したり歩き回ったりしましたが、傾斜地の建物ゆえの工夫か、2階山側はテラス席もある庭に無国籍な雰囲気の庭園になっていました。マガジンラックにはいろいろな雑誌が置かれ、カード会社の情報誌や航空会社の機内誌まであります。それにしても店内も駐車場もこの広さということは、空港に近い立地を活かして団体客を当て込んでいるのかもしれません。駐車場は大型バスも余裕で駐車できそうです。しかしこの広さなら賃料は決して安くないはずですから、果たして『総本家』と冠した賭けが吉と出るかその逆か・・。公式サイトによれば県内6店舗を展開しているようで、最近急成長系のお店として資金力はあるのかもしれません。

とつあん そうほんけ のみものは じぶんで さて、来ました『元気そば』。スープから一口すすると野菜そば系の味がしました。トッピングの野菜はモヤシ、ニンジン、ニラを炒めてあるらしいので、炒めた時の汁気がスープに混じっているのかも。続いて麺を・・と、三枚肉を動かしてビックリ!通常、沖縄そばの三枚肉は厚さ5ミリ以上はあるのが普通と思っていたところ、薄切りベーコンかと思うほどの厚み。いっそ肉野菜炒めとしてトッピングしてくれた方が、メニュー見た目の誤解は少ないと思いますが、まあ三枚肉には違いありません。モヤシの元気なハリハリ感に薄い三枚肉の食感が負けて物足りない感じがしました。

 気を取り直して麺。いい麺です!メーカー製では食感が一番好きな、照喜名製麺所の麺をさらにブラッシュアップしたような、しっかりした歯ごたえと弾力にツルツル感も加わって、麺は満点、申し分ありません。ああこれなら、いつものとおり『軟骨ソーキそば』にするんだったなあ・・・と、いささか後悔したのでした。

とつあん そうほんけ レジのうしろの メニューと やごうのゆらい ところで『とつあん』という屋号、最初に耳にするとだいたい『おとっつぁん?』だと思い込みそう。よくて「沖縄そば業界激戦の中で尖ったろか~っ!」ってな意気込みで『凸庵』かな、と思いきや、レジの背後のメニューを帰りがけに読むと、沖縄からはるかに遠い長崎県対馬で、地道なイノシシ退治をした人物、陶山訥庵にちなんだそうです。沖縄にあってなぜ対馬なのか?第二次大戦中、激戦の沖縄から本土へ学童を疎開させるべく航行している途中、鹿児島県悪石島近くで鬼畜米軍に撃沈された学童疎開船「對馬丸」とも関係なさそうですし、もしやオーナーは対馬出身か、ルーツが対馬なのかもなぁ・・と勝手に想像したのでした。

 麺の完成度が高いだけに、もし次に食することがあれば『軟骨ソーキそば』を迷わず選ぼうと思います。メニューの写真、よくよく見れば確かに薄い三枚肉であると確認できるのですが、断面を上に向けてトッピングされたら、そこまで注意しては見ないので、今回はお値段比でちょっと残念でしたが、麺は大満足でした。テナント料に耐え、思惑どおりに団体客が入ってお店が繁盛するといいのですが。

所在地:那覇市具志3丁目35-9 トップヒルズ具志2F
定休日:火曜
営業時間:11:00~17:00(売り切れ次第終了)
電話:098-859-2229
お店のサイト:http://totsuan.com/

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